「雨色の花」(2019.11.17発行)という本について、興味のある方はどうぞ。
令和元年の黒手本だ〜!
脱字ありました。
18ページ下段16行目「紙のように紙を開く」→「手紙のように紙を開く」でした。やっちゃった。他にも1文に同じ表現2回入れてるとこがあって頭抱えました。次こそは見直す時間もっとつくるぞ…と毎回言ってギリギリになる…
今まで出した本ってほとんどがpixivにアップしてる話に肉付けしたものなのですが、珍しく全部書き下ろしたら終わりが見えなさすぎて死ぬかと思いました。一番プロットに時間をかけた本です。去年の7月に最初のプロット書いてから、今年になって紫陽花観察&プロット練り直しをしてようやく形にできました。
◆表紙
新シェルリン ヘアーラインという縦の線が入っている特殊紙で、雨が降っているように見えたらいいなと思って使ってみたら思った以上にかわいくできて嬉しかったです。題字は幻ノにじみ明朝。表紙より目次のほうが滲み感でてる。
◆舞台設定
関東に住んでるイメージで書きましたが、紫陽花祭りの場所は佐賀の見返りの滝をモデルにしています。乗り換えの駅は唐津駅、最寄り駅は相知駅。
◆本文
最初は単純に「紫陽花の咲く間だけ記憶をなくした手嶋と、手嶋を拾った黒田の淡々とした日常が書きたい」という気持ちでした。(たぶん朝ドラの『ひよっこ』に影響受けてる)
考えるうち、一緒に暮らすにはそうせざるを得ない理由が必要だよな~と手嶋すべてを忘れられた存在にしたり、せっかくひとつの町を書くなら…と予定になかった屋上遊園地出したり、趣味詰めこみまくったファンタジーになっていました。
最初のほうに使った展開やセリフをあとでまた使うのが好きなのですが(リフレインっていうのかな)、この本では黒田が言った言葉をのちに手嶋が、手嶋が言った言葉をのちに黒田が、というふうにできてとても楽しかったです。本人たちは無意識だけど一緒に過ごすうちに影響受けあってる感じ。
記憶をなくした手嶋を書くにあたって、自転車のことを忘れているのにどうやったら手嶋らしさが出るんだろう? 自分のこともわからない状況で、初対面の人間(黒田)にどんな言葉遣いをするんだろう? と難しくて、起承転結の起にめちゃくちゃ時間かかりました。黒田もどんなふうに手嶋に接するんだろう、と。
黒田が箱学の面々に手嶋のことを聞いてまわるところ、青八木くんに「手嶋を知らない」と言わせるのがつらすぎてとうとう登場させなかった…。
◆黒手のこと
記憶喪失ネタってつらい展開になるイメージがあるのですが、黒手の場合は関係が薄いところから始まるせいか記憶のない間がほのぼのしてて、これって黒手ならではだなぁと思います。
手嶋が黒田のもとに現れたのにはそれとなく理由付けしていて、
手嶋の落車により傷ついてしまった紫陽花と、右半身を打ち付けた手嶋
→ボール遊び等で花が落ちてしまった公園の紫陽花と、右手を捻挫した黒田
ふたつの出来事がリンクした結果、紫陽花の毒で不思議なことが起きた…ということにしています。ファンタジーなので深く考えなくてもいいんですけども、この2人って私の中ではやっぱ運命じゃなく偶然がもたらした関係性なのでした。
そして自転車関係なしに、考え方とか人への接し方とかテンポとか、そういうとこで惹かれあってほしいです。表現できてたらいいな。
あと手嶋に「ユキ」と呼ばせてみたかったです。手嶋って名前呼びすること少なくて、たぶん総北の手嶋として黒田と仲良くなったら基本「黒田」呼び。呼んでも「雪成」。ふざけて「ユキちゃん」。なかなか「ユキ」にはならないと思うので、これを機にたくさん呼んでもらいました。
書きたいこと詰めこんだ結果さらっと流しちゃったシーンもたくさんあるので(プロレスごっことか)、黒手妄想のきっかけにでもなれば幸いです。
こんなところまで読んでくださり本当にありがとうございました。